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灰色空に紺の傘。ひとりで歩く君を見つけたのはついさっきのこと。こんな日に雨だなんて嫌だなぁ。せっかくの私の誕生日。やっぱり祝ってもらえるのは嬉しくて、学校で「おめでとう」を言ってもらう度に大袈裟に騒ぐ私はまだまだ子供なのかなって思うけど、まあいいや。家に帰ればミルフィーユが待ってるはずだ。でも何故だろう、騒いだ分だけ今が寂しく感じる。目の前を歩く彼は大人しいけれど頼られる存在で仲のいい人も多かったりする、でも私はあんまり話したことはなかった。こう見えて人見知り。彼はひとりで歩いていた。信号手前、渡ろうとして周りを確認する彼の頬には――涙。見間違いなんかじゃない。視力のよさは私の自慢のひとつだった。普段、誰かの泣く姿など見る機会はない。ましてや彼だから。え、と声を漏らした。彼は私がいるだなんて気になってなんていないんだろう。彼は何事もなく横断歩道を渡った。彼に一体何があったんだろう?きっとこの灰と藍の雨の日がきっかけだったんだ。あの日の彼に送るとしたら、いったいどんな言葉だったんだろう。






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